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ケルトの叫び

この曲は、アイルランド・モダン舞踊の名作「リヴァーダンス」のメインメンバーであったマイケル・フラットレーが、1996 年に独自に初演したミュージカル「ロード・オブ・ザ・ダンス」の付随音楽の中から抜粋された組曲です。ミュージカルに登場する音楽が順不同で配置されていますが、抑圧からの解放という、ケルト民族が辿った歴史が色濃く反映された全 5 曲の構成となっており、ミュージカル本来の面影と、この曲独自のストーリー性というふたつの魅力を楽しむことが出来ます。

1. 悪夢 Nightmare
漠然と存在する不安が序々に大きさを増すといった趣の前半と、ダブルリード楽器による朴訥として牧歌的な温かみのある後半との対比によって構成されています。

2. スイル・ア・ルイン Suil a Ruin
古アイルランド語の独特な音韻で歌われる民謡をモティーフにした曲で、イギリス兵として最前線に徴兵されていったアイルランド人の恋人の身を案じる、淡い期待と絶望的な不安が歌われます。ケルト独特の節回しのメロディが、ホルンの独奏によって奏でられます。

3. ブレイクアウト Breakout
ケルト音楽では笛が重要な役割を担っていますが、この曲はアルトフルートの独奏に導かれて始まり、後半へと続く力強い全奏は、抑圧からの解放の戦いへの決心でしょうか。

4. 嘆き Lament
『嘆き』とは、大切な人を失った悲しみを表現する言葉でアイルランド独立までの長い道のりへのレクイエムでしょうか。この曲は、中低音の金管楽器群を伴ったユーフォニウム独奏で、たいへんコンパクトな編成で演奏されます。

5. 勝利 Victory
節度と威厳のある堂々としたファンファーレにより、舞踊の王の勝利が高らかに宣言されます。それに続く笛の音は民衆の喜びの歌と踊りを表現します。途中には軍楽隊の陽気な勝利宣言も聞かれ、喜びのうねりがやがて明るく力強いフィナーレとなって全曲が結ばれます。