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第23回定期演奏会(2004.06.27)プログラムより 音楽監督 柏木 利介
三鷹市吹奏楽団は約30年にわたる実に長い歴史を持っています。東京都の一般吹奏楽連盟に加盟している団体としてもトップ10に入る長い歴史を持っているでしょう。これは我々が一貫したポリシーを持ってきたこと、つまりジャズ・ポップスに対して、こだわってきた結果だと考えられます。
一般団体において演奏する方々は、好みでない団体に長期間にわたって在籍し、音楽を共にしようとは考えないだろう、ということです。社会人の演奏者は自分の好みの音楽、そして団体をまとめて移動していきます。しかし鷹吹にはジャズ・ポップスをやるというポリシーがあり、これに賛同したメンバーが常に加わってきた歴史の結果として長期間の団体存続になったと思っています。つまり楽団としてのポリシーがはっきりしているからこその結果だと考えています。逆にポリシーがはっきりしていない場合には持続性はなく、つぶれたり、再編成したり、ということを繰り返しているのが一般の吹奏楽団の現実ではないかと思います。
ところで今回の演奏会では、第一部は最近の吹奏楽のオリジナル作品、特に現在の吹奏楽音楽を中心に選曲しました。現在の吹奏楽は、どういった方向性で曲が書かれているのかをお汲み取りください。そしてこれらの曲でおわかりいただきたいことは、聴衆の皆様にはわかりにくく、親しみやすくない現代的な手法を取り入れた楽曲が、現在の吹奏楽曲では主流となっているという現状です。しかしその中には「力」がみなぎった曲が数多くあり、これらの曲を皆様に伝えたいと思っています。
我々は単にジャズ・ポップスの演奏を行うだけではなく、吹奏楽の現状を常に考えて演奏を行っています。そして将来の吹奏楽はいかにあるべきか、といったことを常に考えています。今回、第一部の現代的吹奏楽の演奏について、吹奏楽とは、どのような方向性に向かっているのかを感じていただけると幸いです。
また第一部の最後にはクラシック音楽として代表的なワーグナーの「タンホイザー序曲」を演奏します。この曲は以前に「ドラキュラのテーマ」であったり、最近は「白い巨塔」というドラマでも採用されたおなじみの曲です。今回は吹奏楽で演奏するクラシック音楽も取り上げてみました。
第二部は鷹吹が目指しているジャズ・ポップスを中心におおくりします。今回は「フライト・オブ・ザ・フー・バード」「フレックル・フェイス」「天国への7つの階段」という3曲をアレンジしました。特に「天国への7つの階段」は、ジャズ界の巨匠であるマイルス・デイビスの曲ですが、私は、この曲はジャズ曲でありながら、管楽器そして多くの打楽器を取り入れた吹奏楽という形態で演奏することによって、さらに面白い曲になると思いアレンジを試みてみました。他の吹奏楽団では主にクラシック音楽と吹奏楽の融合性を中心に考えていると思われますが、この曲ではジャズと吹奏楽の融合性を特に考えて作ったアレンジとなっています。そういった観点を含めて、特にこの曲に関してご意見をいただけると幸いです。
また三鷹市吹奏楽団は、現在までに16年間にもわたり、吹奏楽コンクールでジャズ・ポップスを演奏してきました。おそらくこのような長きに渡って、コンクールでチャレンジしてきた団体はないと思います。そして今年の夏のコンクールでは「天国への7つの階段」を演奏したいと考えております。こういったアプローチを行っている我々に対しても、ご意見をいただけると幸いです。