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一般の吹奏楽団に求められる2点のポイント

第21回定期演奏会(2002.06.16)プログラムより 音楽監督 柏木 利介

鷹吹は昨年20周年を迎え、演奏はまだまだ不十分ですが年月だけは大人のバンドになってきました。さて大人のバンドとは、一体どのようなバンドを指すのでしょうか? それは音楽について各人が自分の思っていることを自由に話し合うことができる場がある、ということだと思います。そして様々な団員の音楽的な主張を、同じ音楽をやっている仲間として解釈し、お互いを尊重して、納得しあって演奏ができる、ということではないでしょうか。鷹吹も20年かかってそんな場ができつつあると思います。最近は団員も80名を超えてきましたが、音楽を通 じてのみ関係を持っている我々にとって、お互いが思っている音楽を尊重した運営が行われてきていることは嬉しいことです。

その中で、私は一般の吹奏楽団が考えるべき音楽的な2つの観点をいつも主張しています。1つは「吹奏楽ならではの形態にしかできない音楽を演奏すべきだ」ということ。もう1点は「これからの吹奏楽を考えた演奏をすべきだ」ということです。

昨年の定期演奏会では、A. リードの名曲「アルメニアンメダンス」を演奏しました。今年は同じく吹奏楽の巨匠として名高いR. ジェイガーの「交響曲第1番」を演奏します。吹奏楽の演奏会ではクラシック・アレンジだけでなく、こういった吹奏楽の名曲をもっと取りあげるべきではないかと思います。もちろんオーケストラの曲の中にも吹奏楽という管楽器中心の演奏形態で効果 的に演奏できる曲がいろいろありますが、単にオーケストラの真似をしているだけではお客様には楽しんでいただけないでしょう。なぜならオーケストラの曲はオーケストラの演奏で聞いたほうが面 白いのは当たり前だと思います。

鷹吹はこれからの吹奏楽を考え、「The MUSICIAN」というCDを制作しました。鷹吹が考えているこれからの吹奏楽とは、リズム性が強いジャズ・ポップスを取り入れ、なおかつジャズでは考えられないような管楽器を主体にした色彩感を持った音楽です。このような考えを持って活動を行っている吹奏楽団は珍しいのかもしれません。しかし、現在の日本の吹奏楽、そして各一般 吹奏楽団はこんな斬新な考えを持つことが必要ではないでしょうか? 今の吹奏楽はその形態を生かし切れず、あまり面白い音楽を演奏しているとは思われません。一般の音楽愛好家の方々に「オケとは違った面白さが吹奏楽にはあるよね」と言わせるような演奏をする努力が必要と思います。

これからの一般の吹奏楽団は、吹奏楽という形態はもっと面白い音楽ができる可能性を秘めているということを考え、この吹奏楽という管楽器主体の音楽形態を多角的に捉えてみるべきだと思います。

このような私の意見に対してみなさまはどのように思われるでしょうか。ご意見をお聴かせください。