作曲者ワーグナーは、中期ロマン派で最も独創的な作品を多数残した人で、オペラ史上においても、歌よりも音楽そのものが重視される「楽劇」を創始したり、貴族の娯楽であったオペラを一般大衆へ開放したりしました。
このオペラは、官能の愛に溺れた青年タンホイザーの罪が、彼の恋人エリザベートの自己犠牲によって浄化される様が描かれています。
曲は、第３幕「巡礼の合唱」のテーマによるアンダンテ・マエストーソ（荘厳に）の管楽器コラールで始まります。このテーマが何度か繰り返されながら高潮し、第１幕第１場の「ヴェヌスベルクの音楽」（アレグロの中間部）に移り、宴が盛り上がったところで冒頭の「巡礼の合唱」の主題が再現され、崇高なクライマックスにて終結します。